新たな地域医療構想が目指す新しい地域連携の姿とは

2025/2/27

新たな地域医療構想が目指すのは、地域全体の医療・介護連携

2024年末に、「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」が示されました。今後、2025年度中にガイドラインが策定され、2026年度には各地域で地域医療構想が作成される予定です。具体的な取り組みについては、第8次医療計画の中間見直し年である2027年度から開始される見込みとなっています。

急速に進む高齢化と働き手不足の中、従来の病床再編にとどまらず、外来医療、在宅医療、さらには介護との連携強化が課題として 認識されています。新たな地域医療構想(新構想)は、こうした多様なニーズに応えるため、各ステージにおけるシームレスな医療・介護の提供体制を構築できるように、地域全体での連携促進を目指しています。

新たな地域医療構想の特徴は?

新構想の特徴は、従来の病床機能の分化と連携に加え、外来や在宅、介護との連携が強化されることです。

日本全体で高齢化の進展や生産年齢人口の減少が進む中、その進行速度は地域ごとに異なり、医療・介護のニーズも多様です。さらに、多くの地域では人材確保が困難になると予想されます。こうした背景から、各医療圏の実情に応じた医療提供体制を維持するため、医療機関の役割分担を明確にし、それぞれの機能を最大限に活かす連携強化が求められます。

出典:厚生労働省 第11回新たな地域医療構想等に関する検討会 (2024/11/8)【資料 1 新たな地域医療構想について(外来・在宅医療・介護との連携等、医療機関機能)】

医療機能の分担と医療圏を超えた連携の強化

新構想では、「治す医療」と「治し支える医療」の役割分担が明確にされることが重視されています。具体的には、これまでの病床機能報告制度にある、高度急性期、急性期、包括期(「回復期」から名称変更)、慢性期という病床機能の区分を維持しつつ、新たに外来や在宅、介護分野との連携を強化することが求められます。

従来の地域医療構想は病床単位の議論が中心でしたが、新たな構想では外来診療や在宅医療を担う人材の確保が大きな課題として浮上しています。特に地方部では、外来診療を担当する医師の高齢化が進んでおり、2040年には診療所のない市区町村が全体の約2割に達すると予想され、外来診療や在宅医療の提供体制の維持が困難になると考えられます。そのため、医療圏を超えた広域的な医療提供体制の整備、役割分担の明確化、さらには在宅医療・介護の拡充が今後の大きな課題となります。

参考資料:厚生労働省 「第10回 新たな地域医療構想等に関する検討会(2024/10/17)【資料1  新たな地域医療構想について(医療機関機能、外来医療)】」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001316780.pdf
出所:厚生労働省 新たな地域医療構想等に関する検討会(2024/12/18)「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」 より弊社作成

医療機関機能の明確化による課題解決

これらの課題に各地域で対応するための枠組みとして、新構想では医療機関の機能ごとの役割分担、すなわち医療機関機能の明確化が図られます。

これまで、病床機能報告では、高度急性期と急性期、また急性期と回復期の区分が不明瞭であったほか、機能別の必要病床数が患者単位のデータに基づいて設定される一方、実際の病床数は病棟単位で報告されるために差異が生じ、さらに必要病床数と基準病床数の関係が把握しにくいという課題がありました。病床機能報告制度に加えて、医療機関機能を報告する制度を導入することで、例えば、病床機能とあわせて高齢者救急の受け入れ 、救急・急性期の医療の提供を広く行う医療機関など、それぞれの役割を明確にする狙いがあります。

具体的には、以下のような分類が導入される見込みです。

  • 高齢者救急・地域急性期機能

  • 在宅医療等連携機能

  • 急性期拠点機能

  • 専門等機能

  • 医育及び広域診療機能

出所:厚生労働省 新たな地域医療構想等に関する検討会(2024/12/18)「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」より弊社作成

地域医療構想調整会議では医療だけでなく介護も議論の遡上に

地域医療構想調整会議の拡充が検討されており、今後は医療関係者に加え、介護関係者、保険者、市町村の関係者も参加することで、より実情に即した議論が行われることになります。この議論によって、医療機関の経営状況や地域の医療ニーズを踏まえた医療提供体制の見直した介護とのより緊密な連携が期待されています。

また、基準病床数と必要病床数の整合性を確保することも、新構想の重要なポイントになります。従来は必要病床数を超過した場合にのみ制限がかかっていましたが、新構想では、医療計画の基準病床数を必要病床数に応じて見直し、地域の実情に即した病床数の調整が行われることになります。

出所:厚生労働省 新たな地域医療構想等に関する検討会(2024/12/18)より作成

精神医療の位置づけと課題

新たな地域医療構想では、精神医療の位置づけにも変化が見られます。これまで一般医療と精神医療は分けて 考えられることが多くありましたが、新たな地域医療構想では、身体合併症への対応や一般医療との連携が強化される方針となっています。これにより、精神疾患を持つ患者がより適切な医療を受けられる環境が整備されることが期待されます。

まとめ

新たな地域医療構想では、病床機能の整理にとどまらず、外来や在宅、介護といった分野との連携が重視されるようになります。また、地域医療構想調整会議の拡充や基準病床数の調整により、各地域の医療ニーズに即した形での医療提供体制が求められています。

<参考資料>

厚生労働省 新たな地域医療構想等に関する検討会(2024/12/18)「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001357306.pdf
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問い合わせ先

新たな地域医療構想が目指す新しい地域連携の姿とは

自治体病院の再編統合・経営形態の見直し、地域医療構想推進支援、経営戦略の策定・改定、公立病院の経営改善支援 ほか

総務省経営・財務マネジメント強化事業アドバイザー

川端康正

令和2年から3年にかけて厚生労働省医政局地域医療計画課へ出向。病院、病院事業局、市町村、県、国といった幅広いレイヤーでの支援実績・業務経験を有しており、その他公的本部や病院グループの本部への経営改善支援など、複雑な利害関係者を有する病院や複数病院を有する団体に対する支援を得意とする。病院の経営改善、経営計画の策定のほか、地域医療(構想)などをテーマにした医療機関の再編統合や機能強化、設置主体における負担金の協議などに従事した経験に基づき、経営改善に関する分析ならびに助言、計画の策定支援を行う。

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